…あぁ、
やっぱり帰ろうかなぁ?
何て、思いながらもあたしの足は少しずつ進んでいた。
「あ、あのぉ…
樹、いる…よね?」
あたしがドアの向こうに話しかけても、返答はまったくなかった。
はぁ…
いつもなら何も言わずにこの部屋に入って、
『またきたのかよ』なんて言いながら樹は笑ってくれて…
「あの…、あのさ「入れば」」
あたしがボソボソ言っている途中に割り込むようにして樹は言った。
「…あ、うんっ」
そう言いながらあたしはドアに手を伸ばした。
―ガチャッ
そこには、ベッドに寝っ転がっている樹の姿がある。
「…で、何か用ですか?」
刺々しい言い方で樹は言う。
…あぁ、怒ってる。
何て言えばいいんだろ、?
考えてから言った言葉、
「な、…なんか機嫌悪いんだってね?」
「は…?」
っ!…墓穴掘った、かな?

