「ということで、本番まで残り少ない日数ではありますが準備の方よろしくお願いします」
軽くお辞儀をして実行委員の集まりが終わった頃、私の隣の隣の隣では表情一つ変えることなく無のままで居続ける先輩と、私に気づきこっちを見ながら手を振る塚本先輩。
「やっぱり吹季ちゃんも実行委員やることにしたんだね!よかったじゃん、飛鳥にも会えるし♪」
小声で煽るようにコソコソと呟く先輩の言葉に思わず
「そんなんじゃないです…!」
わりと静かな教室に突如響く自分声に先生から生徒までが一斉に振り向く。
「声デカすぎ…!そんな慌てなくても」
「だから違いますって。…塚本先輩のせいでみんなの前で恥かきましたよ…」
二人だけが聞こえるかのようにヒソヒソと話しながら熱くなった顔を手で覆う。
高校初めての大きな行事で責任大の実行委員ということもあり、緊張して硬くなっていた私に明るく気さくに話しかけてくれた塚本先輩との会話はなぜか面白く笑わずにはいられないほどだった。
そんな中、いるだけで注目を浴びる先輩たち二人だということを忘れた私に警告するかのように視線を送る人がいたなんて私はまだ気づいていなかった。


