翌日、いつも通りに家を出る。
でもその足が向かう先は先輩の家だ。
「先輩の様子を見て、預かっている大切な書類を渡すだけ。それだけならいいよねっ」
男の人の家に行くという抵抗と不安もありつつ、なんとか自分に大丈夫と言い聞かせて地図を頼りに路地に入って行く。
昨日のうちに事情を知っている那月と亜子から謎の応援スタンプが届いたのを既読して、そのあと軽く会話をしていると
「あっここだ…!」
塚本先輩が言っていた通りの特徴と名前が一致する建物にたどり着いた。
新築なのか、かなり綺麗なアパート。
そして中へ入ろうとしたとき
「なにこれ、聞いてないんですけど…」
扉には番号を押す機械が設置されており、住民じゃない私は入れないようになっているみたいだ。
「どうしよ…」
急に焦り出し、どうしようかと入り口に立ち尽くしていると丁度良いタイミングで中から人が出てきた。
その瞬間を逃さず開いているうちに中へ入る。
「あぁ…悪いことをした気分…」
複雑な気持ちのままエレベーターに乗り、上の階へ向かった。


