そして、私たちは教室に入った。

"遠山君"は教室の隅に立ってる。

そのとき私は(お人形さんみたい)って思ったんだ。

白い肌。

整った顔。

長い指。

でも背は低い。

話し方、大人っぽかったけど。

遠山君っていくつなんだろ…


そんなこと思いながらフルートを組み立てる。

そしてフルートを口に当てると。

私は遠山君のことが気にならなくなった。

ただ、フルートに夢中になる。


コンクールの課題曲を一曲吹き終えると

奏先生は拍手してくれた。

「前よりとってもいいよ!」

そう言っていつものように指導してくれた。