その部屋もまた随分と暗かった。
どうやら窓はあるようだが、カーテンによって光が遮断されている。
「えっと……入りますよー」
厳密に言えばとっくに入っているのだが、念のためにそう声をかけながら暗い部屋の中を進む。
「あ……雨野くーん……?」
名前を呼びながら歩いているうちに、この部屋が大分変な部屋だという事に気付いてきた。
「家具が、超少ない……」
わたしの心の声を、後ろにぴったりくっついているマヤが代弁する。
この部屋は大体六畳くらいの狭いリビングなのだが、それでもあまり圧迫感を感じなかったのは、異様なまでの家具の少なさのせいだった。
見て取れる分では、丸ちゃぶ台とちっちゃい箪笥のみ。
本当に人が住んでいるのかすら危うい。