「先生の悪口とか言いたくないけどさ……これって教師としてどうなんだろう」


わたしはアパートの階段をカンカン昇りながら溜め息を吐いた。


「ま、ちーちゃんにも色々あるんでしょ。文句言わないであげなって」


マヤは先生を庇うような事を言うが、わたしはどちらかというと、先生よりこの悪友に恨みを抱いている。


まあ、それはともかく。


「102号室……。ここだね」


『102』と書かれたプレートが貼ってあるドア。

その横には『雨野』と書かれた煤けた表札があった。