「でもわたし、成績悪いよ? もっと頭良い人がやった方が……」

「悪いって言っても平均マイナス3くらいでしょ? ウチなんてマイナス20よ? そんなんでバカを名乗るんじゃなーいっ!」

「マヤの成績がひどすぎるんだよ……っと、ここかな」


築40年は軽く超えるであろう、古くて小さいアパートの前で、わたしは足を止めた。

「うっわー、ボロいねぇ! マジでここに不登校生徒が居るの? なんか、不登校って親の脛かじりまくってるイメージなんだけど」

「うん……しかもこの子、一人暮らしだって」


わたしは茶封筒から取り出した資料を見ながら言った。