霧が晴れ、砂嵐が終わると二体のシンクが現れた。

「嘘!?まだ生き残ってたの!?」

阿賀野さんは顔の前に手を当て、驚いた。

「僕の霧が悪かったんだ……!」

「落ち着いて大夜。あなたの攻撃に異常はなかったよ。単にあのゴーレムが異常に強いだけ」

頭を抱える酒匂さんを能代さんが宥める。

「面白い……」

矢矧隊長の視線は鋭かった。杖に砂が集まる。

「あたしたちに任せなよっ!」

第一光描部隊の火力代表が、建物の上から飛び降りてきた。

「時間をかけずに倒して見せましょう」

火属性、葭原 希輝(よしはら きき)さんと、足利 真緒(あしかが まお)さんだ。

火属性は攻撃力が一番高い。
それ以外の特徴はバラバラ。中には、とんでもない弱点を持つ人もいるらしい。火力の高さだけが共通点だ。

「こういうしぶとそうな敵は好きだよ。あたしの炎の餌食になれ!」

葭原さんの手のひらの炎が燃え上がる。

「二つ纏めて抹殺です!」

足利さんが抜刀する。刀身が燃える剣でシンクに斬りかかる。
並んでいたシンクは炎に包まれた。

「ふっ。これでおしまいだね」

「身の程知らずな敵でした」

炎の中から二人が出てきた。
葭原さんは手をはたき、足利さんは剣を戻す。

しかし……。

「この音は何ですか!?」

足利さんが振り返った。
正面を向いていた私は見てしまっていた。

一体、まだ残っていた。

「そんな馬鹿な!確かに斬ったはず……」

「葭原、足利!すぐに離れろ!」

シンクが二人に腕を振り下ろそうとした。
葭原さんは逃げることが出来たけど、足利さんは茫然と立ち尽くしていた。

もう駄目だと思った時……。

「光野さん!?」

「足利さん、大丈夫です。止めておきますから逃げてください」

光野はシンクの大きな手を光のシールドで防いでいた。
足利さんはその場から離れた。

ちょうど増援が来たみたいだ。
六人が固まって走ってきた。