次の日、まずは仁登里の練習を見学する。

「光野さん、練習中?見学していいですか?」

「ええどうぞ」

光野は最初、攻撃の練習をしていた。
魔力を渡す必要が無いからか、いつもより強い魔法を使っている。

あっ、そこそこ威力がある。でも、この部隊にしては弱い。

それよりも、気にするべきことがある。
昔、光野は目が良くない、動体視力も良くないと言っていた。

目の前の光野は的に弾を命中させている。
真ん中を狙って、当てる。弾が的に空いた穴を通っていった。

動く分厚い的に変わったら、足元を狙って倒したり、素早く続けて撃って、力の弱さを補っていた。

光野はそこそこ戦える。なのに、何故戦果を残せそうな所で人に譲る?

私はわからない。光野は戦闘に向いていない、弱いと言われて悔しくないの?

私なら絶対に嫌だ。弱いと言われながら、自分に出来ることを譲るなんて……。
嫌なことを思い出す。光野はどんな考えで、この立場を受け入れてるの?

「光野、何でここまで戦えるのに、力を使わないの?」

思ったことが口から飛び出た。
でも、聞いてみないとわからない。答えを聞けば私も変わるかもしれない。

私の嫌な思い出と光野の行動は、関係がある気がする。

「それはね……」

光野が何かを言おうとした。その時、サイレンが響く。

「強力なシンクの集団が出現!第一光描部隊は用意出来次第ただちに出撃!」

こんな時にシンクが出るなんて……しかも強力な……。私は舌打ちした。

仕方ない。絶対に生き残って、撃滅して、答えを聞いてやる!