「まゆみ、おきなさい」お父さんは、扉を開けるなり言った。お父さんは、黒い上着、シャツ、ダメージジーンズを着ていた。右の目から眉毛のところまで傷があった、目は鋭くいかにも普通ではない感じがする。「お父さん、後10分寝かせて」「ダメだ」お父さんは布団を取り上げると私を見た。私は、起き上がるとクローゼットから制服を取り出した。お母さんが部屋に入って来た。後ろから二人の女の子が入って来た。一人はくるくるの目、唇は小さく綺麗な女の子、もう一人は目が丸く大きく、スタイル抜群。「大池あゆなちゃんと歩美ちゃん。双子なんですって」あゆなちゃんが綺麗な方で歩美ちゃんがスタイル抜群な方。二人はお父さんを見るなりビックリして歩美が「中京興業て知ってますか」と聞いた。お父さんは、驚いたが落ち着いて言った。「それて…あの」「はい、際山賢さんて方知ってますか」今度はあゆなが聞いた。「名前は聞いたことあるな」「その息子さんが同じクラスにいるんです」あゆなは続けて言った。お父さんは、何か考え込んでいた。「まゆみ、ちょっとお父さん出かけて来る今日は帰れない。絶対に大海あきらの名前を出すな」そう言い残すとお父さんは、部屋を飛び出した。「あの…」「あ、そういう関係の人じゃないよ。そう見えるけど…さぁ、早く着替えなさい二人とも朝飯は…」「食べてません」「じゃ、食べさせてあげる。」お母さんの後に続いて二人が出て行った。まゆみは、制服に着替えると鞄の中に文房具、ノート、下敷き、本を入れて部屋を出た。リビングに行くとあゆなと歩美が、焼き魚を口に入れていた。「まゆみも食べなまゆみは焼き魚にポン酢だったよね」お母さんは、焼き魚の皿をテーブルに置いた。まゆみは椅子の隣に鞄をおくと椅子に座った。「二人の両親のご職業すごいのよ」お母さんがふわっと笑いながら言った。「え、何々」まゆみは興味深そうに言った。「お父さんが、映画監督。お母さんが、ヴァイオリニスト」あゆなは言った。「すごい」「まゆみちゃんは」歩美が逆に聞いた。「お父さんが、不動産の会社社長でお母さんが和食レストランのシェフ」まゆみはそう言うと魚を口に入れた。「だから、こんなに美味しいんですね。料理が」あゆなは、そう言うと味噌汁を飲み干した。


