道中も色んな話をしながら歩いていた。ケイタもよく喋るし、私も同じくらい喋っていた。

アパートまでは徒歩で30分近くかかるけど、不思議とタクシーを呼ぼうという話にはならなかった。


「あれ、私の家」


ケイタは私のアパートの前まで送ってくれた。彼は何も言わなかったけど、多分私を送るために遠回りをしてくれたんだと思う。

まさかこんな狭い道が、彼の家に向かう途中の道であるはずがない。


時刻はまだ9時前だった。二次会に行ってないからこんなものだろうけど、お開きにするのはいくらなんでも早い時間だ。


……もう少し、ケイタと話していてもいいかな。