ぼくのセカイ征服

人は異質なモノを避ける。排他する。淘汰する。駆逐する。掃討する。掃滅する。
それは人の、性質。逃れられない、本能。

スミレの、異常なまでの男嫌いも、仕方の無い事なのだ。
スミレにとっての、異質なモノ…つまり、『異物』が『男』だというだけで、なんらおかしい事ではない。

あまり関係のない事ではあるが、今思えば、スミレ本人も、他人の排斥の対象となっていた時期があった。それは、昔のスミレが、同性ですら、あまり話をしたがらないほどの『変わり者』…『異質なモノ』だったからだろう。もちろんそれは、いろいろな意味で、だが。
とにかく、昔のスミレは、全く他人を寄せ付けようとはしなかった。一人の先輩を除いては。まぁ、それについては今の話に関係はないので置いておくが。

排斥する事で、排他される。社会から隔絶された、超然なる立場と存在。僕がスミレとあんな関係になれた事なんて、奇跡に近い。
それほどまでに、スミレという人間は、他人を受け入れなかった。それによって、他人に受け入れられなかった。

でも、些細なきっかけで…僕と、いや、僕達と関わるようになった事で、スミレは変わった。変わる事が出来た。
そう、思っていた。思い込んでいた。

実際は、何も変わってなんかいなかったのに。


僕はあの時、スミレに訣別された。拒絶された。それから、僕達の関係は希薄なものとなり、いつしか、途絶した。
それは…そう、たしか中学三年の夏だった…と思う。
僕はそれ以来、スミレとは、最低限の関わりしか持たなくなっていた。
社交辞令の挨拶を交わす程度の薄っぺらい繋がり。絆なんて、とっくに無くなっていた。いや、最初から無かったのかもしれない。
しかし。
しかし、だ。