「あれ?もしかして、硝子??」


「えっ?啓介?何でここに?」


「後藤様、いらっしゃいませ。」


「綾野さん、ここの席空いてる?」


「大丈夫ですけど、荒川様が宜しければ。」


チラッと、私の様子を伺う視線を感じる。


「えぇ。どうぞ。」


「お許しが出た様なので、後藤様、どうぞこちらへ。」


「なんか、綾野さん。硝子を贔屓してない??俺、常連なのに~!!」


「すいません後藤様。私もこう見えて男ですので、綺麗な女性には弱いんです。」


「うわ~綾野さん、それは狡いわ~。」


「フフッすいません。...........後藤様、一杯目は、いつもので宜しいですか?」


「あっうん。宜しく!」


啓介は、慌ただしく隣に座ると、早速私の方に身体を向けた。


「一人で何してんの?ここよく来てんの?」


「一人でお酒飲んでるし、ここは初めてです。」


「フフッ...........なんで敬語?」


「別に。」


「お待たせ致しました。ウィスキーのロックとこちらライムモヒートです。ごゆっくりどうぞ。」


「ありがとう。」


てっきり綾野さんが、持って来てくれると思ったけれど、既にまた新しい客に話し掛けられていて、ちょっぴり残念に感じる。


「ウィスキーなんて飲むんだ?」


「まぁな。おっさんだしね。...........それよりも、ここのお酒、何でも美味しいから飲んでみてよ。」