「いらっしゃいませ。.......うちには初めてですか?」
「あっはい!一見はダメですか?何も予約してないんですけど.......。」
「フフッ...うちはそんな高級クラブじゃありませんよ?ようこそ!Alternativeへ。オーナーの綾野です。是非、お見知り置き下さい。」
「荒川ですっ!こちらこそ、宜しくお願いします!!!.....実は、前からこのお店ずっと気になってて、夜になると、窓ガラスに映る間接照明が素敵ですよね。」
「そうでしたか。それはとても嬉しいです!この時間、少し混み合いますが、カウンターでも宜しいですか?」
切れ長の大きな瞳を細めて、ニッコリ笑う。
遠目に、綺麗な女の人だと思っていたけれど、この人は綺麗な男の人だ。
中性的で綺麗なだけじゃない。
時折見せる、艶っぽい視線に、ついつい目が離せなくなってしまう。
「あの...........どうかされましたか?」
「いやっ!!なんでもありませんっ!!カウンター席で大丈夫ですっ!!」
「かしこまりました。どうぞ、こちらへ。.....足元暗くなっておりますので、気を付けてお通り下さいね。」
「はい。」
(やばい.....一々、優しい...........。)
足元を気にしながらも、店内の様子を見渡す。
(あっ...あのランプ、こんな形してたんだ......いいなぁアレ。)
キョロキョロして、視線を前方に移すと、綾野さんが、そんな様子の私を見て、またニッコリ微笑んでいた。