「大変だったな荒川!」
久し振りに出勤して、直属の上司に一通りあらましを説明する。
「いえ、それより少し長く有給を取ってしまって、すいませんでした。」
「有給なんかお前は溜まりまくってんだから別にいいさ。ただ普段、荒川に頼り切りな所が多いから、皆は大変だったみたいだな!ハハハハッ!なぁ、山口?」
隣のデスクでPCに向かっていた、同期の山口君が立ち上がった。
「部長!!俺、結構頑張ったと思うんですけど~?」
「そうか!それは悪かったな!アハハハハッ!」
「山口君、本当にごめんね。今度、何でも奢るから。」
「いや、別にいいけどさ……どうしてもって言うなら奢られようかな?」
「フフッ……OK。」
少し照れたように目を逸らす仕草は、まるで小さい子供の様でなんだか可愛い。
いざとゆう時は、山口君が居てくれるから私も安心して仕事が出来た。
同期でいて、仕事の良きパートナーでもある。
「さてと、溜まった仕事、片っ端から片付けますか!!」
「あっ!荒川!!日曜だけど接待行けるか?」
「あ~…………すいません。ちょっと先約が。」
「そうか、いや約束あるなら無理にとは言わないよ。山口も居るしな?」
「えーーーーっ?!マジっすか!!今週もかよーー。部長飲み過ぎないでくださいよ?この前、送るの大変だったんですから?」
「心配するな!!アハハハッ!!」
いつものやり取りを聞きながら自分のデスクに座ると、やっと帰って来た感じがした。
私もあの子と同じで、きっとあの家で緊張しているのかも知れない。
自分で引き取って置いて、どうしたらいいか分からない自分がいた。