勢い良く身体を持ち上げられて、お風呂の縁に座らせられる。

完全に丸見えの状態で向かい合っている。

下から見上げる様に、蒼の青い瞳が私を見ている。


「やだっ...........見ないでっ!こんな身体...恥ずかしいから...........。」


「そんな事言わないでよ。俺は、あなたの全てが愛しいんだから...........。」


私のお腹に抱き着く様に顔を寄せると、蒼は優しく長いキスをした。


「硝子さんの辛い事...........半分俺に分けて...........。もう、自分を許してあげて。俺は絶対あなたから離れたりしない。葵ちゃんに誓うよ…。」


「...........蒼。」


私の中に沈んでいた鉛の様な哀しみが、今溶けていく。

初めて救われた様な気がした。

自分を許せた気がした。

いつの間にか私は、蒼に自分から飛び付いていた。

どんなに強く抱き締めても、呆れるほどキスを繰り返しても足りない。

今のこの気持ちを伝える術は、だだ一つだと分かっている。


「蒼..........愛してるよりもっと愛してる..........。」


「俺も...........愛してるより愛してます...........。」



刹那の時、蒼の切なそうに眉間に寄った皺を、愛おしく思いながら、私は打ち寄せる幸せを失わない様に、背中に回した腕に力を込めた。