「ねぇ...........硝子さん。」


「ん?何?」


「お風呂入ってないでしょ?」


私の髪に顔を埋めて、蒼がしかめっ面をする。


「えっ?!!臭う?」


「酒臭い...........。」


「今から沸かすから、待ってて。ずっとお湯に浸かってなかったんでしょ?」


「何で分かるの?!」


「本当、硝子さんは俺が居ないとダメだなぁ~。」


「返す言葉もありません。」


腕組みしながら溜め息をつく様は、すっかりいつもの世話焼きモードになっている。


「お風呂上がったら適当にご飯作るからさ、一緒に食べよ?」


「うん。...........でも材料無いよ?」


「そうだと思って、材料買って来たから。」


指さす方を見ると、買い物袋が床に置いてあった。


「さすが!蒼!!久し振りに蒼の手料理が食べられるぅ~!!」


「はいはい。取り敢えず、風呂ね~。」


以前と変わらないやり取りに、年甲斐も無く嬉しくてついつい浮き足立ってしまう。

お風呂が沸くまで、料理をしている蒼の後ろ姿をただ眺めていた。

これまた久し振りの蒼のギャルソン姿。


「格好良い...........。」


自分の気持ちを自覚してからと言うもの、蒼の全部が格好良く見えてしまって仕方ない。

ついつい彼の行動を目で追ってしまう。


「何か言った?」


「えっ?何も。」


「あっ...........お風呂沸いたよ。どーぞ。」


「うん。行ってくる。」


身体や頭を洗って、スッキリすると、大分具合いも良くなっていた。


「あぁ~湯船に浸かるの久し振り~。気持ちいい~。」