「ゔぅ~...........んん...痛っ...........。」


酔って帰って来て、そのままソファーでうたた寝する毎日。

我慢出来ない具合の悪さで目が覚めた。

この所、続いていた接待に加えて、強いお酒を飲み過ぎたツケが今頃回って来た。


「取り敢えず何か胃に入れなきゃ...........。」


ふらつきながら、壁を伝ってキッチンに向う。

冷蔵庫を開けてはみるけれど、あるのは少しの調味料とビールのみ。


「はぁ~...........ずっと買い物してなかったんだ。ゔぅ~...........ヤバい...低血糖なって来たかも..........。」


蒼が帰って来なくなってから、ずっとろくなものを食べてない気がする。

家で一人で食べる食事は、蒼の事ばかり思い出してしまって胸がいっぱいになるから避けていた。

背伸びをしながら、高い所の戸棚を順に開けていくと、奥の方に桃の缶詰が一つ置いてあった。


「あっ...桃缶見っけ…っと、まだ食べれるかな?...........賞味期限はOKっと。...これでいいや...........げっ!これ缶切り必要なやつかぁ...........ゔぅ~...缶切り何処だっけ...........あぁ...........もぅ.........。」


適当にキッチンの引き出しを開けてみるけれど、缶切りは見当たらない。