「そうやってずっと不貞腐れたままでいいの?ずっと子供みたいに甘え続けるの?周りが気づいて手を貸してくれるまで、ずっと泣いているつもり?」


「あんたに何が分かー」


「分からねーよ!!でもね、男ならグダグダ悩んでないで、当たって砕けろっ!!」


確かにそれは正論だった。

一つだけ残された希望を、傷付くのが怖くて見て見ぬ振りをしていた。

勝手にダメだと決め付けて、不幸な自分に酔っていたのかも知れない。

それが楽だったから...........。

勝手に涙が零れ出した。


「蒼君、本当は諦めてないんでしょ?あなたのその涙が答えじゃない。若いんだから余計な事考えずに、素直な気持ちに従ってみたら?一番欲しいモノって、大事な人なんでしょ?...........どうしてもダメだった時は、また特別待遇でご飯食べさせてあげるから?ねっ?」


「...........もしかして、小夜さん...........元ヤンですか?」


「えっ?!何でそれを.........?!!」


「フフッ...........小夜さん、めっちゃ格好良いです...........なんか俺、目が覚めた気分。考えてみたら、自分で勝手に手放してた様です。まだあの人にちゃんと正面からぶつかってませんでした。俺まだ、賭けられるモノ持ってる様です。」


「うんっ!!頑張れっ!!」


「はいっ!!また来ます。ご馳走様でした。」


店を出た瞬間、目の前が開けた様な気がした。