「物語が作れなくなったの」



私は今までずっと重たく背負ってた荷物を吐きだしたように言った。
レイは黙ったまま聞いてくれてる
「本当に前触れもなく作れなくなったの。思いついても全然面白くなくて、こんなんじゃ人助けなんてできないって…」
私は今、どんな顔をしているだろうか。
きっと

泣きだしそうな顔をしているだろう。

辛くなった。胸が、心が、苦しくなった。
するとレイは私の手とレイの手を重ねた。
「…?なんで手、繋ぐの…?」
「離れないために。」
レイはまた前を向く
「…あと、クロエが道に迷わないように。」
道…その道はどれの事を言っているんだろうか。海賊船へと続く道なのか、私の夢へと続く道なのか。
レイに夢を見失うなと言われたような気がして、私は涙を拭った。
「レイの手冷たい」
私はふふっと笑った
「けどなぜか安心するね」
私は夢への不安をレイがなくしてくれたかのように感じた。