「んん…」
あれから夕ご飯食べて少ししてから皆で寝た。枕投げしたりして私も子供のような気分になったりして楽しかった。
少し、皆と別れるのは心寂しい気がするけど…
「よし。」
私はむくりと起き上がり、そーっと部屋のドアまで来た。
キィィとドアを押すと音がなる。
「みんな、バイバイ…」
するとグイッと足を掴まれた
「!?」
私は視線を落とす
「バイバイってどういう事?」
掴んだ相手は、レイだった。レイは、無表情な眼差しで私を見ている
「起きてっ…!?」
レイはガバッと立ち上がり、私の口を手で塞ぎ、しーっと口に指をあてた
「皆寝てるから…別の部屋で話をしよう」
「…」
私は頷くしかなかった。


「なんで出ていこうとしたの?」
「えーっと…」
私達は隣の部屋へ移った。
レイはさっきから無表情だ。私はそれが少し怖くてずっと俯いている。それに呆れたのか、レイはふーっと息を吐くと
「あのね、こんな知らない所きて怖いのも解るけど、この家の外は迷路みたいな森なんだ。ここに来てから脱走する子は沢山いるけど、皆行方不明になってる」
それを聞いて私はぞわっとした。
レイは火が灯ってるろうそくを冷たい目で見ながら言った
「皆、どうなったかはわからない。さっきは僕がまだ起きてたから良かったけど、クロエ、危ないところだったんだ。」
「か、」
「?」
「帰りたかったんだ。」
私は口を開いた。
「ここが別世界なんて知らない。もしかしたら家に帰れるかもって…」
私はぎゅっと手を握った。
「帰りたいの?」
レイが私に聞く。私は顔を上げてレイと目をあわせた
「夢があるの。沢山の子供達を幸せにしたいという夢。こんな所にいたらその夢は叶わない。」
レイはずっと目をそらさないでくれている
「レイが、辛い事って言ってたもの、私にもある。けどそれに向き合わなきゃ、現実と向き合って答えを見つけなきゃなにも叶わない」
私は、真剣な眼差しでレイに訴える。それをレイは受け入れるかのように口を開く
「…帰れる方法あるよ」
「えっ…?」
レイは少し視線を落とした
「『夢の出口』って言われている霧があるんだ。その霧の中を進めば現実に帰れる」
「どっどこにあるの!?その霧は!?」
「僕もわからない。この森を出た所に海賊船がある。そこに住んでる海賊に聞けば連れていってくれる。」
海、賊…
「その海賊船に連れていけるのは今のところ僕だけ。どうする?クロエ」
レイの青い目が私の心まで見られているような気がした。
「…いく。レイ、どうかそこまで連れていってください。お願いします」
私は、その目に自分の信念を見せるかのように強く、強く言った。
「わかった。じゃあもう今日は寝よう」
レイは部屋を出ようとした、時に私のほうへまた振り返った
「現実に逃げるのと休むのは違うよ。クロエはちゃんと休めた?」
そう問いかけた何処か悲しそうな顔したレイの顔は儚げだった。
「うん」
私はろうそくの火を浴びながらそう答えた。