「リリィ、花冠の作り方教えるからきて」
「…うん」
クロエが夢の続きから去って1週間が経った。

僕達は花畑にきて、リリィに花冠の作り方を教えていた。
「ここはこうでー…」
するとリリィの手は止まり、リリィの手には涙がぽつりと落ちた。
「…」

リリィは覚えていたんだろう。あの時言った言葉を。
『え?教えなくていいの?けどそれじゃ、意味ないんじゃ…』
『いいの。レイ兄ちゃんがここから居なくなる時に教えてくれたらいいから』

そう、僕がリリィにこうして花冠の作り方を教えてるのは、僕がここを去るから。
「レイ兄ちゃん、いなくなるんでしょ…?」
リリィは震えた声で小さく言った。
「…ごめんね」
僕はそれしか言えなかった。
「…会いたい人がいるんだ。いや、会わなきゃならない人がいるんだ。」
リリィは俯いたまま。
「リリィ、この花冠は、僕がここにいた証。どうか大切にしてほしい」
僕は、自分の出来上がった花冠をリリィの頭に飾った。するとリリィは僕に抱きついた
「…また…また会える?」
「…」
僕は
「うん」
嘘をついた。笑いながら。会えることなんてあるはずないのに…
「会えた時はまた花冠一緒に作ろう」
僕はリリィの頭を撫でた。