「ハァハァ…」
ここどこだっけ…あぁそうか。僕は倒れたんだった…あの子達は大丈夫だろうか。クロエは無事に行けただろうか…こんな…別れも言えずにさよならするなんてな…本当に自分の体が憎い。
「あっ!!目、覚ましたっ!?」
え…
聞き覚えのある可愛い声…僕は声がしたほうへと視線をうつす
「クロエ…?」
なんで…
「地図みて、川までいったの。それで水をふくませたタオルで、レイの頭冷やそうと…」
行かなかったんだ…
クロエは僕の額にタオルを置いた
「冷たい…」
「我慢して。ねぇ、苦しいところってどこなの?頭痛いとかない…?」

「ねぇクロエ」
「ん?」
この子なら…僕の夢聞いてくれるだろうか…
「僕の夢ね、生きる事なんだ。」
それを聞いた途端クロエの笑顔だった顔は崩れていく
「生きて、愛した人と一緒になって新しい家族ができて幸せに生きる事。けどそれは叶わない。」
僕は少し笑いながら手を自分の胸に置いた
「僕ね、肺が病気なんだ。治らない病気。ある時、聞いてしまったんだ。僕がまだ生きられる時間を。つまり余命。その日の夜、沢山泣いた。死がもう間近にあるんだと。そしてもうこんな世界から逃げたいと思った。そしたらこの世界、『夢の続き』にきたんだ。」
クロエはとても悲しい顔をした。嫌だな。そんな顔を見るのは。
「クロエ、知ってほしいことがあるんだ。僕の様にどんな信念があろうとも努力しようとも夢が叶わない人はいるんだという事を。だからクロエの夢は絶対叶えてほしいと思ってしまうんだ。諦めないでって…」
するとクロエは大粒の涙を流した。ぽつり、ぽつりと。
「本当にクロエは泣き虫だなぁ」
僕は笑った。僕も泣きそうだったからだ。
「レイ、大好きよ」
彼女は流れてくる涙を拭いながらそう言った。
「うん僕も」
僕は笑った。重たかった心が幸せに満ちていく気がした。
とても、僕は幸せ者だなぁと笑った