あ…。
あの子もしかして…。


「初めまして。今日からこのクラスで勉強することになりました。市川ひなたです。最近こっちに引っ越してきました!よろしく!」



パチパチパチ

クラス皆が市川君を歓迎していた。



「ねえ、あんず〜!市川君って前行ったカフェの店員さんに似てない??」



「似てる…」


市川君はすぐクラスに馴染めたみたい。



初めて市川君を見たのは今から1ヶ月ほど前。
のんと一緒に駅前にできたドリームハウスに行った時…。アルバイトしてた。



あれから何度か1人で通っていたけれど。



「覚えてくれてないよね…」


皆に囲まれて楽しそうに笑っている市川君を見て私は、誰にも聞こえないくらいの声で呟いた。



「あんず…?どうしたの?」



「ううん。何でもないよ」



「顔赤いよ?」



「え、あ、そんなことないよ!」



「ならいいけど。」



市川君はきっと私の事なんてお客さんの1人としか見てくれてない。
そんなこと分かってるけど…。



友達になれたらな…なんて、欲張りすぎだよね!

私はこうやって遠くから見ているだけでいいんだ。