「さんきゅ!!」

外からでかい声が聞こえる。

程よく高すぎず低すぎない

聞きやすい声。

「「キャー」」

…でも、女子がうるさい。

谷口翔が叫んだんだろう。

ヴーヴー

谷口翔からLINEがきた。

──お前だよ。

今の“ありがとう”は、やっぱり

谷口翔だったのか。

女子も騒ぐわけだね。

「ちょっとごめんね。」

ベランダにいるたくさんの女子を

かき分けて最前列に出ると

中庭に冬なのに

花でも咲きそうなくらいの笑顔で

立っている谷口翔がいた。

だからこっちも叫んでやった。

「どーいたしまして!」

と言えばお前は犬か。ってくらい

手をぶんぶん振ってくるから、

こっちだって少しだけ振ってやった。