1人で生きていたって意味がない。
たまに感じる喪失感から解放されたかった。

だから終末を呼び寄せたのだ。


本当だったら今日のうちに自分は
魔王の手によって殺されていたはずだ。

そうなればよかったのに。


魔王は勇者に殺される運命なのだ。

なのに…
なんなんだ今の勇者は…

今のままでは魔王を倒すことも…
いや、十分に剣を振るうこともできない。

雰囲気づくりのための雷に怯えるし、
このままではいつまでたっても
勇者は弱いままだ。



魔王は今まで来ていたスーツを脱ぎ捨て、
クローゼットから私服を取り出した。

そしてありったけのお金を持つと
勇者の居る客室へ向かった。


「おい、行くぞ」

「えっ、どこに?」


勇者は驚いていたがその間に魔王に首根っこを掴まれ
有無を言わすことなく連れてこられたのは
レストランだった。