次の日の朝。
いつもより早くアラームを設定し、時間をかけて身支度をした。
いつもはボサボサな髪の毛も、クシとブラシでしっかり整えた。
制服のシワを伸ばし、ホコリもしっかり取った。
朝ごはんを食べる時間も、学校に向かう時間も、石田先生のことを考えると自然とニヤニヤしてしまう。
学校にも早めに到着し、自分の教室に入った。
教室に入ると、ベランダへ続く窓のところに、誰かが立っているのが分かった。
「お、おはようございます」
少し緊張気味に挨拶すると、その人はゆっくりと振り向いた。
「あっ」と、私は思わず声を漏らしてしまった。
立っていたのは、昨日入学式で私の隣に座っていた女子だった。
「…おはよう。名前、なんて言うの」
「私は土田莉愛だよ!」
なるべく笑顔でそう返した。
「私は瀬川冬華。昨日無視してごめん」
瀬川さんは、申し訳なさそうに苦笑いし、「よろしくね」と言った。
派手な見かけによらず、いい子だな…。
私は、大きく頷いて笑いかけた。