「ただいまー!」
「おかえりなさい。莉愛は何組だったの?」
先に帰宅していたお母さんが、昼食の用意をしながら私に問いかけた。
「私はC組だったよ! 担任は石田雄大先生だった。1年間楽しみー」
「男の先生なのね。まぁ、1年間楽しめるならいいんじゃない?」
お母さんは、私に笑顔を見せると、再び鼻歌を歌いながらキッチンに立った。
私は自分の部屋に行き、制服から部屋着に着替えた。
「石田先生…かっこよかったな」
ベッドに寝転がり、独り言を口にした。
水色や黄色でまとめた自分の部屋は、私が1番落ち着ける場所だ。
石田先生のことを考えているうちに、ご飯ができたから降りてきなさい、とお母さんに呼ばれた。
私はリビングに行き、お母さんと昼食を食べた。
「どう? 友達はできそう?」
お母さんの問いかけに、私はすぐに頷くことができなかった。
クラスの人をまだよく知らないし、今日はまだ先生の顔しか覚えていない。
「うーん…微妙かも」
私がそれだけ言うと、お母さんは「…そう」とだけ呟き、それ以降何も聞いてこなかった。