体育館のパイプ椅子に座り、隣の席の女子に話しかけた。
「よ、よろしくね」
視線だけこちらに向いたものの、ふいっとそっぽを向かれてしまった。
横顔をちらりと見ると、その女子はとても美人だということに気づいた。
パッチリした大きな目。派手な茶色の髪に、抜群のスタイル。
私とは程遠いオーラを感じ、それ以上見るのをやめた。
校長先生の話は長く、強い眠気が襲ってきた。
入学式と同時に担任の発表があり、私はぼんやりとそれを聞いていた。
「…えー、C組の担任は石田雄大先生です」
私の耳に入ってきたその名前に、私は飛び上がりそうになった。
石田雄大先生って、あの石田先生ですよね！？
「C組の担任になりました、石田雄大です。みんなよろしく！」
石田先生が見せた爽やかな笑顔に、女子のみんなは完全に心を奪われた。
一瞬だけ石田先生と目が合い、思わずドキドキしてしまった。
入学式が終わり、初めてのHRが終わると、私はその場を立ち去ろうとした。
「莉愛ちゃん！ 担任になりました、石田雄大です。よろしくね」
至近距離で笑いかけられて、胸の鼓動が鳴り止まなかった。
「よ、よろしくお願いします！」
精一杯の笑顔で笑い、学校を後にした。