学校に着くと、私と同じ新入生がたくさん集まっていた。
皆必死でクラス名簿を見ていて、背の低い私は全く見えなかった。
「大丈夫？ 名前探してあげようか？」
いきなり背後から声をかけられて驚いて振り向くと、スーツ姿の男の人が立っていた。
サラサラの黒髪に、切れ長の目。スラリとした長身で、思わず見とれてしまった。
「あ、突然声かけてごめんね。俺は石田雄大、この高校の数学教師だよ」
ニコッと爽やかに笑いかけられて、不覚にもドキドキしてしまった。
「そうそう、名前探してあげるから君の名前教えて？」
「つ、土田莉愛です！」
思わず背筋がピンと伸びてしまった。
そんな私の姿を見て、石田先生はクスッと笑った。
「土田莉愛ちゃんね。えっと、莉愛ちゃんはC組だよ」
「ありがとうございますっ！ じゃあ、失礼します」
私は、足早にその場を立ち去った。