その日の授業時間は、ほとんどが自己紹介に充てられた。
自己紹介をするのも何度目だろう、と眠気に襲われた頭で考えながら前に立つ。
もうすぐ昼休みだ。みんな窓の外を見たり、机に突っ伏したりして、早くこの時間が過ぎるのを待っているようだ。
それでも、瀬川さんが自己紹介をする時には毎回どよめきが起こり、そこだけ時が過ぎるのが早いような気がした。
そうこうしているうちに、昼休みを告げるチャイムが鳴り、みんなは一斉に立ち上がった。
私は、瀬川さんと机をくっつけ、一緒にお弁当を食べた。
「そういえば瀬川さんって…」
「あ、冬華でいいよ。なんかよそよそしいでしょ」
そう言い、瀬川さん―冬華は、ニコッと笑った。
「じゃあ、私のことも莉愛でいいよ! 改めてよろしくー」
私が笑顔を見せると、冬華もニコッと笑った。
お弁当を食べている時間はとても楽しくて、時間が経つのがあっという間だった。
昼休みが終わっても、私たちは話し続けていた。