ポケットの中はとてもあたたかった。

あたしの顔もゆでダコのように真っ赤になっていると思う。

それがバレないようにマフラーに顔を埋める。


ねぇ、どうしてこんなに期待させるようなことするの?


あたしのこと好きじゃないくせに。


あたしばっかり期待してバカみたい……。



「さ、行くか」



さっきのことは、なかったことのように歩き出す望夢。


ポケットの中で繋がれた手はやっぱりあったかかった。


拒否しようにもぎゅっと強く握られているから不可能だ。


仕方ない…このまま行くしかない。


胸のドキドキを顔に出さないように気をつけながら近くのデパートに向かった。