そして、放課後。


あたしは言われた通りに校門の前に向かう。


近くまで来て視界に入ったのは愛しい彼の姿。


ああ、この制服でキミと出かけられるのもこれで最後と思うとなんだか寂しいな。


そんなことを思いながら、駆け足で彼の元へ行く。




「おせぇよ」


ズボンのポケットに手を突っ込んで少し不機嫌そうにあたしを見る。


「ごめんごめん」


セーラー服のあたしは寒くても手を突っ込むポケットがないので両手をさすり合わせ、フゥーフゥーと息を吹きかける。


その息すら、雪のように白い。


上から羽織っているカーディガンのポケットは小さくて温まらない。


すると、望夢がポケットから手を出してさすり合わせていたあたしの右手をぎゅっと握ってそのまま自分のポケットの中に入れた。