「だまれ」
「は?黙れって何?」
「いいから来い。校門の前で待ってるからな」
自分の言いたいことだけを言うと、
そそくさと友達のいる方へと言ってしまった。
意味わかんないし。
お返しとかしない主義とか言ってなかったっけ?
もしかして、今年もらったチョコレートの中から本命の子がいてその子にチョコレートを渡すとか?
そんなの嫌なんだけど。
何が楽しくて好きな人の好きな子にあげるのチョコレートを一緒に選ばなくちゃいけないのよ。
「あ…ちょ……!
はぁ…ほんと勝手なんだから。もう」
あたしが今どんな気持ちなのかキミは知らないでしょ?
キミと話しているときはずっと心臓の鼓動が速いのとか、
笑顔を見る度にドクンッ、と大きく胸が高鳴ることとか、
他の女の子と仲良くしてたら胸がぎゅうっと締め付けられて苦しいこととか…
……あたしがこんなにキミのことを好きなことを。
キミは何も知らないでしょ?
いい加減、気づいてくれたっていいじゃない。
鈍感男め。
でも、いいよ。
これが、最後だから。
明日、この学校を卒業したら…キミとはもう会わないから。
明日は中学の卒業式でもあるけど、
あたしにとっては、
キミを卒業する日でもあるんだ。



