「一華…っ!!!」



聞きなれた声が耳に届き、

後ろを振り向くとそこにはハァハァ…と息を切らした望夢がいた。



「の、ぞむ……」



あまりの予想外な出来事にあたしは言葉をなくす。



「一華、なに先帰ろうとしてんの…?」



一歩、一歩、あたしに近づいてくる。


なんで?


さっきまで色んな子に囲まれてたくせに。



それともなに?


本命の子と付き合えたから自慢でもしに来たわけ?



「チョコレート、受け取ってもらえた?」



気づけば、こんな言葉が口からこぼれ落ちていた。



「は?」



望夢のとぼけたような声も無視する。


とぼけても無駄なんだから。



「本命の子と付き合えた?よかったね。

じゃあ、あたしたちはもうこれで…っ」



─────…サヨナラだね。


そう言おうと、した時にあたしは視界は真っ暗になった。


しばらくして、望夢に抱きしめられているのだと理解した。