【一華side】
「なぁ……」
卒業間近にも関わらず、いつものように
ガヤガヤとうるさい教室で話しかけてきたのは一番仲のいい男友達の望夢(のぞむ)
小学校の時はあたしと同じぐらいの身長だったのに
中学に入り、男の子はよく伸びるというその言葉通りいつの間にか望夢はあたしよりもずいぶん大きくなっていた。
ついこの前までは甲高かった声も
最近は喉仏が出てきたらしく、低くなり始めたこの頃。
彼の三年間の成長ぶりには驚かされてばかりだ。
だから、あの頃よりもずっと“好き”という気持ちが増していっているのも無理はないと思う。
かれこれ、好きになって
三年ほどが経つが現状は変わらないままで。
未だに“一番の女友達”という位置から抜け出せていない。