下の階では料理をする音。私の部屋はテレビの音でいっぱいだった。隣の部屋からは騒がしく暴れる音。まただ。私は耳を塞いだ。ココ最近また酷くなってきている。

妹は精神の病にかかっていた。

家族全員そのことは知っていた。しかし、中学校の頃からあんなふうになり始めた妹にもう家族は呆れていた。私だってそう。妹が中学1年の夏から変わってしまい、高校3年の今でもまだあんな状態でいる。流石に誰もが呆れると思う。部屋で一人暴れ回り、学校にも行かず、ご飯も食べない。私や家族のいない間冷蔵庫が荒らされてることが多々ある。きっと妹だろう。でもやはり誰も気にはしなかった。妹のことだから。皆妹のことになると眉をひそめて眉間にしわをよせる。ああ、嫌われてるんだなって私でもわかった。それに嫌われるのは妹だけじゃない。こんな妹を持った私も両親も、気味悪がられて避けられることもあった。だから私は妹が嫌いだ。早く死んでしまえばいいのに、そんなこと考えてはいけないと分かっていてもそう思ってしまう。妹の部屋には鍵がかかっていて、誰も中を見たことがない。いいや、見たくない。だから誰もそのことには触れないようにした。