「しっかし、なーんであの2人はくっつかないんだろーね?」
「お互いのタイミングって言うのがあるんじゃないの」
「くそーっ、麻衣子ちゃんはアイツのどこがいいんだか!」
よっしーの机で授業の課題を教えて貰っている麻衣子を見て南が嘆く。
そんなの自分で考えろ。
あんな優しくて気が利く人だから誰でも好きになるのよ。
「ていうか、そんなこと言うんだったらアンタも告白すればいい…っんぐ!」
「あーあー、何も聞こえなーい」
最後まで言おうとしたのに南の手によって塞がれた。
南は麻衣子が好きだ。
それを知ったのはよっしーの事が好きなのがバレた日。
『実はさー、俺、麻衣子ちゃんが好きなんだよねー』
自分から言ってきた。
私に言うより先に麻衣子に言えばよかったのに。
南も南で告白する勇気がないらしい。
チャラチャラしてて女遊び激しいくせに。
多分、その子達には本気じゃなかったのかも。
その理由として、告白する勇気が出ないのかもしれない。
「やっぱり、好きな子の前だと緊張しちゃうよね…」
「でしょ!?さっすがりっちゃん!分かってくれるんだな!」
「当たり前でしょ?私も今そういう状況だから」
「だよなー、お互い頑張るしかねぇよなー」
2人がくっつくのにも時間の問題。
いつくっついてもおかしくない。
だから、頑張るしかないんだ。
でも、どうやって?
普段みたいに話してればいいの?
そんなことしてたら2人が恋人になってしまう。
そしてそれを笑顔で見守る私。
私はそれでいいのか…?
「いいわけない!!!」
「うおっ!ど、どうしたのいきなり!」
「南!ダメなんだよ!このままじゃ!」
「な、何がっ」
このままじゃ2人が恋人に!
そして私等の恋も失恋に終わる!
「どうせ俺らの恋は報われないよ?」
「そうだけど!!いや、まだ分かんないよ!!」
もう答えは見えているみたいな顔を向けられたけど、気にしない。
何もしないよりはマシだよ。
弟にプリンをとられても。
新品の服がほつれてやぶれちゃっても。
我慢してきた。
麻衣子にだって。
可愛い筆箱があってそれを買おうとしたら麻衣子とかぶっちゃって。
しかもそれ一つしかなくてどうしても欲しかったけど。
結局麻衣子に譲った。
映画も麻衣子が見たいやつを見たり
それでも我慢してきたんだ。
でも今回は
「今回だけは譲れないの…」
例え麻衣子との間に亀裂が入ったとしても。

