南。
その名前が出てくるとは思わなかった。
だって、明らかに出るような場面じゃないのに。
「あいつ、昔から元気で、おちゃらけてるけどさ、実は根はスゲェイイヤツで。でも、ホントは…南は弱いんだ」
「え…弱い?」
あんな奴がガラスのハート?
メンタル強そうなのに?
「そういう奴に限って、弱いんだ。大丈夫。大丈夫。って、あいつは自分に言い聞かせてる」
大丈夫。
その言葉で私は我慢してきた。
大丈夫。
その言葉で南は、自分を守ってきた。
俺は、できる。
俺は、強い。
そう言いながら。
その時、南がとても小さな男の子に見えて仕方がなかった。
南に何があったの…?

