俺を好きになってよ。


な、何故か分からないけど南のお父さんに笑われてる…。


どうすればいいか分からなくて、隣にいる南を見上げると、目が合った。


「…父さん。俺はりっちゃんのことを大切にしたいと思ってるんだ。俺は俺なりにりっちゃんを幸せにしてやりたい。もうあの時の自分とは違うから」


曇っていた南の目がまっすぐ前を向いていた。


南は明恵さんに目を向けた。



「…明恵さん……や、義母さん。こんな俺を本当の息子のように育ててくれてありがとう…」

「南……」


明恵さんは口を手で抑えて黙ってしまった。



南、今…義母さんって………。


南は明恵さんに微笑んだ。



私も自然に笑顔が込み上げてくる。


──バシッ!



「って……」

「え!?!?」


え、何か目の前をよぎったと思ったら南が頭おさえてるんだけど。



「こんの…南のおたんこなす!!!!」



どうやら、目の前をよぎったのは明恵さんの手だった。

え?さっき見た明恵さんは幻だったのかな…?


目の前にいるのは般若!!!??