「…その時、母さんは道路に飛びたして信号無視した車にはねられたんだ」
南は話し終わると昔を思い出してるのか空を見ていた。
その横顔がとても辛そうだった。
「…俺が…殺してしまった」
「そんな…」
「俺があの時追いかけなかったら…母さんは死んでなかった。…俺が殺したんだ」
「違うよ…車が…っ!」
それを言っても南は頭を抱えて首を横にふった。
どうしよう…こういう時どんな言葉をかけたらいいの?
「だから…本気で恋なんかしたことなかった。捨てられそうで…消えそうで…」
「南…」
「私もね、事故でお父さんを亡くしたの」
「……え…」
「最初は悲しかった。…どうしていなくなっちゃったの?置いてかないでって…」
お父さんが亡くなってからお母さんはたくさん働くようになった。
動いてないと涙がこみ上げてくるんだと思う。
今は平気だけど、昔は寝ながら泣いてたっけ…。
「…だけど私思ったの。…お父さんのために…皆のために生きようって。自分だけが悲しんでいても意味ないって」
私のほかにも悲しい人はいる。
私だけがいつまでも過去に囚われてるんだ。
お母さんも渚月も前に進んでるのに。
「南はさ…"また"って言ったけど…私は南のお母さんじゃないよ」
「……っ」

