「うそ…何で…」

「奈那が教えてくれたんだ…。りっちゃん、暗いところ苦手なのにお化け屋敷入ったの?」

ゔっ……痛いところつくな〜!!

「御守先輩が指輪落としちゃったらしくて…」

「え?奈那指輪してたけど?」

「嘘!?」


ってことは私騙されてたってこと!?
やっぱりあの人は嫌いだぁぁぁっ!!!


「うぅ…もういい。帰る…サヨナラ……」

「え、這いつくばって帰るの…?」

「そうよ!だから南はお化け屋敷楽しんできて!」


南はお化け屋敷楽しみたいだろうし!!
助けに来てくれたのかな…なんて思っちゃった…。


よし、這いつくばって帰ろう……って思ったのに。

懐中電灯を持った南が私の前にしゃがんでいる。

「何してるの…?早く行きなよ」

「だーめ。りっちゃんを置いてけれないから。ほら、乗って」

乗ってとは?

…まさかおんぶ!?

「むっ、むりむり!!大丈夫だから!」

「りっちゃんってさ、大丈夫大丈夫って言うけど、本当は大丈夫じゃないんでしょ?」

ギクリ。


大丈夫ってずっと言ってたけど本当は大丈夫じゃない。

でもこの言葉は魔法の言葉みたいなものだから…。

この言葉を口に出せばなんとかなるって思ってたけど、やっぱりそうはいかないらしい。


「…それに、立てないんでしょ?」

「……っ、」

何でバレて…

私は恐る恐る南の首に手を回す。
重いのバレちゃうんですけど!!

「…りっちゃん、もっと食べた方がいいよー?」

「余計なお世話よ!」

何それ!!もっと太れってこと!?
今でも十分太ってるっつーの!!


目の前を懐中電灯で照らしながら進んでゆく。


『あ"ぁ"……』

「ひゃっ……!!」

怖すぎる!!!
しかも南がいるからさっきみたいに変な声出せないし…!!

おんぶといいお化けといい心臓バクバク。

絶対私の心臓の音聞かれてる!!


「…何で助けてくれるのよ。私なんて放っておけばいいのに…」

なんでこうやって優しくするの…?