連れてこられたのは中庭。
ここ…南と出会った場所だな…。
そういう事を思い出すだけで涙が出てきそうになる。
ゆうちゃんは私をベンチに座らせ、どこかに行ってしまった。
どこに行ったんだろう?と思った時、ゆうちゃんが袋を抱えて戻ってきた。
「はいっ!凛月、好きなパン選んで」
「…ありがとう…」
私のために色々な種類のパンを買ってきたの…?私の事なんか放っておけばいいのに…。
「たくさん食べていいから。凛月、食べてる時が一番幸せそうだから」
「ゆうちゃん……っうぅ〜…っ」
「えっ!?凛月!泣かないで!?」
「ふぇ…っ、う…っ」
「辛かったんだね…」
我慢出来なくて泣く私の背中をポンポンしてくれた。
ゆうちゃん…私の気持ち分かったんだ…。
「…好きなのはいつから?」
「…ぅ…っ、夏休み終わってから…っ」
それから、先輩と南が付き合ったこと、まだ引きずってることを話した。
ゆうちゃんは聞き終わると私を抱き寄せた。
「南っちの事なんて忘れればいいじゃん…」
そう言ってゆうちゃんの顔がどんどん近づいてくる。
「オレじゃ…ダメかな…?」
「ふぇ…、……っ!!」
え……
ウソ……
頭が…追いつかない…
だんだん落ち着きを取り戻し、今の状況を把握する。
私…ゆうちゃんにキスされてるの…?