零度の華 Ⅰ



『普通の女だ。何も変わらない。ただ少しだけ喧嘩慣れしているってことぐらいだな』


「お前達、この女をやれ」



谷口の合図で男たちが一斉にあたしに向かってくる


久々に素手での喧嘩に少しだけ昂るが、痛いのは嫌いだからあまり拳は使わないように喧嘩を進めて行く



10分も経たないうちにその昂りは消え去り、面白くなくなってきた

相手の男達は15人程いたのに、すぐに伸びてしまって動くことすら出来ずにいる




『所詮、こんなもんか』


「てめぇー。やってくれたな!」



怒り狂った谷口は、ナイフを取り出しあたしに突きつけてくる


あたしはそれを綺麗に躱す



コイツ、ナイフを振り回すが当たらないように振り回してやがる


気を失わせず、動くことのない程度の力を拳に込めて殴る