零度の華 Ⅰ



あたしは首もとにあるナイフを持っている男の手首を持ち、クルッと体を反転させると男と面と向かい、そのまま鳩尾を殴る

倒れ込む男にとどめとして背中に肘打ちを食らわせる

男は気を失ったのか微動だにしなくなった



ナイフをポケットにしまい、愛川に近づく


「雨月、やめろ!!!」



鮫島の止める声か聞こえるが、声を出すだけで自分は動こうとしない



『黙って見てろ。どうせ、その重い足ではここまで来れないし、来ても手なんて出せないだろ?』


図星をつかれると黙る性格はすごく楽で、操りやすい



あたしは再び歩み寄る


「こ、これ以上、近づくと、この女の命はないぞ!!」


震える手で震える声で言われたって、怖くなんてない