零度の華 Ⅰ







今、警察は忙しい

零(ゼロ)である、あたしの正体や足取りを必死になって探しているだろう

頑張ったって分かりやしないのに


カードを添えてあたしが殺ったことは示すが、捕まえられるようなことは残していない



それに今は菖蒲(アイリス)が警察内部に潜入中だから見つかることなんてない




『鷹見は大変だろうな。それにしても、大切にされてるお姫様だけど可哀想だね』



あたしは立ち止まると、不思議そうにこちらを見る愛川蘭を抱きしめて怪しく微笑みながら鮫島を見る



あたしの中で驚く愛川に対して、不審そうにあたしを見る鮫島はすぐさまあたし達をはがす

もっと優しく離してほしい、とは言わないでおこう

言い合いになりそうだ