零度の華 Ⅰ



烏(クロウ)は動じず運転を続ける



"情"だって?

そんなもの昔からあたしには持ち合わせていないものだ


今更、移ることなんてあるかよ


それに、あたしにとって警察は"敵"ではなく"玩具"だ



あたしは烏(クロウ)の方に顔を向けた


『玩具に対して情が移るわけないだろ。それに塩を送ったんじゃない、釘を送ったつもりだ』


「釘、ですか?」


『あぁ、身の危険を感じろとな。まぁ、アイツ等にはお節介だったがな』



あたしは再び、外へと視線を移す

最後まであたしの玩具であってくれよ、鷹見



じゃないと、ここまでやった意味がないからな



「それにしても、テレビ放送なんて大胆なことをよくしましたね。あれでは警察だけではなく全国の殺し屋が貴女を狙ってきますよ」


『もともと狙われの身だ、今更身の危険を感じることはない。それにこれを流したのは日本だけじゃないぞ』




烏(クロウ)はあたしの言葉に耳を疑っている