零度の華 Ⅰ



「しかし、何故FBIに零(ゼロ)は手紙を送ったのでしょう?」


『密かに僕達も零(ゼロ)のことを追っていたのです。零(ゼロ)はそれに気が付きわざわざ送ってきたのだと考えています』


「零(ゼロ)のことです。あり得ますね。でも、どうして手紙を私共にわざわざ渡しに警視庁まで来られたのですか?貴方々も零(ゼロ)を追っているのでは?」


『上から手を引くように命令を受けてしまったのです。日本の警察に任せるから、僕達は違う任務を渡されました』



ただの作り話だ


それを疑いもなく信じるとは鷹見は素直過ぎるな


だから、あたしを捕まえることができないんだよ





「そうですか。ご協力ありがとうございました」


『いえ、鷹見さんの力になれて光栄です。では、失礼します』




そして、あたし達は鷹見に背を向けてこの場を去ろうとする



『あ、鷹見さん』


振り返り、鷹見の方に体ごと向き合う



『僕が上から言われたことなのですが、"零(ゼロ)に執着しすぎると奴の思い通りだ"とのことです。少しでも参考になるでしょうか?』


「勿論です。参考にさせていただきます。ありがとうございます」


『いえ、では』


あたしは再び、背を向けて警視庁から出た