『今日、貴方にお会いしたかったのは、これを渡したかったからです』
あたしはジッパー袋に入れた手紙をそのまま鷹見に渡した
「手紙ですか?誰からですか?」
『零(ゼロ)からです』
一瞬にして鷹見の顔が変わる
眉間に皺を寄せては怒りを露わにしている
「拝見してよろしいですか?」
『もちろんです。そのために持ってきたのですから』
鷹見は指紋がつかぬよう手袋をはめ、手紙を読み始めた
読み進める鷹見は何か焦り始め、時計に目を向ける
長針が11、短針も11を指している
「おい!!誰でもいい、すぐにテレビの電源を入れろ!今すぐだ!!」
怒鳴る鷹見に急かされるようにテレビの電源を入れるも、ただの特番をやっているMCの声が流れるのみ
「あ、あの.....鷹見警部?」
部下に呼ばれていることに気付かないほど、気持ちに余裕がないのだろう
時計とテレビとを交互に見ては何かを待っている様子に、部下もこれ以上誰も声をかけられない



