零度の華 Ⅰ



髪が濡れ、シャンプーの匂いがするということは仕事を終えたところか


あたしは紙を渡す



「これ、お前の仕事だろ?」


「鯱(オーカ)!零(ゼロ)様に向かってお前とは無礼な!」



あたしと鯱(オーカ)の間に入り、鯱(オーカ)を下から睨む



「関係ないだろ。指図される筋合いはない」


「なんだと!」


『やめろ、菖蒲(アイリス)。人になんて呼ばれようと構わない。話を脱線させるな』


「すみません」




シュンと小さくなる菖蒲(アイリス)はあたしに依存しすぎている


利用しやすいのだが、時々厄介となるのが難点だ



『こっちが鯱(オーカ)の仕事だ』


「ボスの命令だ。お前と仕事を代わる気は無い」





ボスの命令は絶対

逆らえば命がない



『そんなにボスが絶対か?』


「当たり前だろ」




あんな奴に従うというのか

恐れをなしてか、それほどまでにアイツが怖いというのか