髪が濡れ、シャンプーの匂いがするということは仕事を終えたところか
あたしは紙を渡す
「これ、お前の仕事だろ?」
「鯱(オーカ)!零(ゼロ)様に向かってお前とは無礼な!」
あたしと鯱(オーカ)の間に入り、鯱(オーカ)を下から睨む
「関係ないだろ。指図される筋合いはない」
「なんだと!」
『やめろ、菖蒲(アイリス)。人になんて呼ばれようと構わない。話を脱線させるな』
「すみません」
シュンと小さくなる菖蒲(アイリス)はあたしに依存しすぎている
利用しやすいのだが、時々厄介となるのが難点だ
『こっちが鯱(オーカ)の仕事だ』
「ボスの命令だ。お前と仕事を代わる気は無い」
ボスの命令は絶対
逆らえば命がない
『そんなにボスが絶対か?』
「当たり前だろ」
あんな奴に従うというのか
恐れをなしてか、それほどまでにアイツが怖いというのか



